2019年7月 - 2

今解雇されたら、この会社で働いていた間の思い出として一体何を思い出すだろうか、ということを、解雇が現実的になった入社数年目から定期的に考える。


今のサイトに配属された初日に、会社のPCやネットワークの設定のために他国に電話をかけることになったものの、それまでの人生では英語で電話をかける機会自体がほとんどなかったので、なんと言えばいいのかわからず、第一声でいきなり詰まり、その後もちょうしどろもどろになったこと、

配属されてすぐの研修で、韓国人の先輩にほぼ全編中国語で書かれたチャートを数時間にわたって英語で説明される(ところどころ韓国語のフレーズが混じる)というレクチャーがあって、頭が混乱し、とったノートにも英語と日本語と、チャートを見ながら書き写した中国語の単語と、聞き取った音をひらがなで書いた韓国語のフレーズが混じっていたこと、

大人数のチームで働いていた頃に、ラボで毎日あれこれと話をしながら皆で一緒に朝から晩までひたすら評価をしていて、結果がよくてもよくなくても、仕事後には適当な理由をつけて毎日のように飲みに行っていたこと、

入社後しばらくやっていた中国の仕事、出張先の工場の会議室で、私が英語で試験の内容を説明し、それを中国サイトの同僚が中国語に通訳し、それを韓国人のお客さんが韓国語に通訳して、英語と中国語が苦手な別の韓国人のお客さんに伝える、という、普通のコミュニケーションの3倍時間がかかるやりとりをやったこと、

同じ中国の仕事の出張先で、建物自体が恐ろしくなるほどきしみまくる地方のホテルの一室でミーティングしていて、内容的に暗い雰囲気になり私が半泣きになっていたら、同行していた中国サイトの同僚がマッチ箱だかタバコの箱だかなんかでちょうくだらない手品をやって場を和ませようとしてくれたものの、ほんの一瞬しか和まなかったこと、

USで、初対面の同じ部署の引退間近のアメリカ人の同僚とランチを食べながら、グッドモーニング・コールの話で盛り上がったこと(私は高須賀由枝の漫画をリアルタイムで読んでいたので知っていた、同僚はNetflixだかなんかで日本のドラマを観ていたので知っていた)、


この会社であの頃にあの人達とあの仕事をしていなければ経験していなかったであろう、ほんのちょっとした思い出ばかりだけど、まあもしその間他の会社で他の仕事をしていたら、また違った思い出ができていたんだろう。