2021年8月 - 12

数か月前、仕事が少し忙しさの波を抜けていた時期があり、今がチャンスと思ってそれまでできていなかった細かなデータ取りを進めていた。大急ぎの顧客対応ではないけれど今後のためには必要なデータで、それを誰に報告するでもなくじくじくと地道に集めていた。結局、途中で急に忙しくなってしまってその実験は中断したんだけど、それでもそれなりの量のデータと知見が集まった。

で、あれからしばらく経ったここ最近になって急に、そのときのデータを求められる機会が増えている。当時、レポートアウトまではできていなかったので、一旦データをまとめ直して再検証する時間は必要だけど、とはいえ一から実験する必要はないわけで、今のメインの仕事に関する実験に干渉することなく、割とタイムリーに情報提供ができている。

いやー、まじであのときやっておいてよかったな。今から並行でやるの、例え一時的にリソースを増やしてもらえたとしても他要因で絶対無理だもん。過去の自分と、当時私を泳がせてあのワークを好きにやらせてくれていたプロジェクトリーダーに感謝である。


この手の地道ワークって、やってる最中は「今これをやってすぐに顧客が助かるわけでもないし、データを積み重ねないと知見も出ないし、先が見えないのに先が長すぎる、進捗が感じられない」とかついつい思ってしまいがちなんだけど、数か月とか数年のスパンで後から振り返ると、あのタイミングでこのワークに少しでも手をつけていて、方向性だけでもつかんでおいてほんとうによかった、と思うことが多い。過去に別のプログラムをやっていたときも、何度もこういうことがあった。

私は基礎研究がメインの仕事ではないし、組織内での自分の立ち位置的にも、個人の特性的にもそこにあまり軸足を置きすぎない方が賢明なことはたしかなんだけど、でも自分の中でデータをためておいて、常にその時点での自分の見解を持っておくってことが、他人に好き勝手やられてしまわないためにはまじで大事だなと思いますね。

そういう時間を確保するのがなかなか難しいんだけど、少しでも隙があったらすぐに手をつけ始めるくらいの方がよくて、そのためには、メインの仕事に忙殺されて他の実験を打つ余裕なんて全くないような時期の最中から、「もし今時間があったら、ほんとうはどんなデータを取りたいのか、取っておくべきなのか、それが数日だったら?半月だったら?数か月だったらそれぞれどこから動き始めるのか?」ということを考えて、策を練っておくしかないんだよな。こういう隙間時間チャンスはいつも突然やってきて、またさっさと過ぎていくので、今やっているワークのことだけを考えて過ごしていると、いざそのときが来たときに何もできずに時間が過ぎてしまう。

結局、自分が欲しいデータに対して、貪欲さを保つことが必要なんだと思われる。プログラム自体だけでなく、データにも貪欲でいたい。